—— 状況を一緒に観察できる仲間の存在が、前に進む力になる
学級がうまく回らないとき、人はつい自分を責めがちです。
「指導が悪かったのではないか」
「もっと厳しくすべきだったのではないか」
「自分には担任の力がないのではないか」
真面目な先生ほど、そして責任感の強い先生ほど、
その問いを心の中で繰り返します。
しかし、多くの場合、その問いは改善ではなく停滞を生みます。
視野が狭まり、解決策が見えなくなってしまうからです。
本当に必要なのは、
**自分への攻撃ではなく、“状況を一緒に観察する仲間の存在”**です。
なぜ、仲間がいると前に進めるのか？
心理学者クルト・レヴィンは、
人間の行動は「個人の性質」ではなく「環境と力の関係」で変わると考えました。
これは「場の理論（Field Theory）」と呼ばれています。
つまり、
トラブルが起きた原因は、
必ずしも自分の力量だけにあるわけではなく、
生徒同士の関係、家庭背景、学校文化、そして季節やタイミングなど、
さまざまな“力”が影響しています。
その環境を一緒に見つめ、整理してくれる人がいると、
自己責任ではなく 課題の分離（アドラー心理学） が行いやすくなり、
感情に飲み込まれずに現実的な改善策を考えられるようになります。
仲間は、解決そのものではなく、
状況を見るための光なのです。
実際の学校現場での例
ある学級で、小さなトラブルが連鎖し、
教室全体がざわつき、担任の先生が疲弊していました。
その先生は職員室で泣きながらつぶやきました。
「何が悪かったんだろう。自分の力不足です。」
そのとき、別の教師が静かに言いました。
「一緒に見てみましょう。
あなたのせいじゃなくて、状況を整理しましょう。」
そして黒板に
・学級全体の人間関係
・中心人物の変化
・最近の学校行事との関連
・家庭への影響
を図にして整理すると、原因がある一点に集まっていきました。
そして改善は動き出しました。
担任は力を取り戻し、学級も落ち着きを取り戻しました。
変えたのは「自分を責める気持ち」ではなく
共に状況を観察する仲間の視点でした。
今、あなたの周りにはどんな仲間がいますか？
・同僚
・副担任
・管理職
・スクールカウンセラー
・教育相談の先生
・学年団
・同じ悩みを抱えた教師仲間
・SNSで繋がる同業者
教室で孤独になるのは、誰にでも起こることです。
でも、孤独である必要はありません。
状況を共に観察してくれる仲間がいれば、必ず前に進めます。
最後に
学級がうまくいかないとき、
最初に疑うべきは「自分の価値」ではなく、
「見えていない状況」です。
自分を責めるのは、解決ではなく、
未来を曇らせる霧にすぎません。
仲間と共に状況を観察できるとき、
必ず光は差します。
あなたは一人ではありません。
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