夏休みが終わりに近づくと学校に行きたくない気持ちが増幅する

Summer Kisei 不安
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長い夏休み

毎年、子どもたちにとって最も長い休みは、夏休みです。昔は8月31日までと言うのが全国的に見れば一般的でした。しかし、今は授業時間の確保ということで、少し早くなっています。北海道などは、昔から少し早く学校が始まっていましたが、今は全国的に8月25日くらいから始まっています。最も日数の多い学期は「2学期(前後期制・二期制の学校なら8月最終週から12月最終週まで)」となりました。4ヶ月です。長いですよね。まぁ、親としては昼食を作らなくて済むので、本音で言えば助かる所もあると思いますが。

長い休みの功罪

4ヶ月に及ぶ長い学期。今の子どもたちは3年前から集団にはめられることが少なく過ごしてきました。しかし、コロナ禍も落ち着いてきたこの頃、しばらく一斉急行はないようです。長い休みの後に、4ヶ月に及ぶ集団で過ごす期間がやってくる。しかも、運動会や文化祭という、これまた集団で何かをつくりあげる行事が待っています。つまり、休みが長ければ長いほど、その後に待ち構える長い集団生活への不安があおられているのです。

生存するための本能

人間は、生物としてその本能に自分の身を守るための行動がプログラミングされています。これは無意識のうちに動きます。例えば、運動したときの脈の速さのように。これは逆に言えば、コントロールしにくいプログラムともいえます。このプログラム、よくわからない物に対して「不安」という気持ちを抱かせ、警戒をするよう仕組まれています。他方、「恐怖」は対象がわかっている嫌な感情で、こちらは相手がわかっているから対処法を考えることができるのです。夏休みで長期間学校に行かなかった子どもたちの頭の中には、「不安」が渦巻いていてもおかしくないのです。事実、一年間のうち不登校や事件が多いのは「夏休み明け」というのは、いろいろな調査からみても明らかなのです。

不登校は正常反応

子どもたちは夏休み終了前には「不安」になっています。「不安」が最高潮に達するのは当日の朝。わからない物に不安になるのは、生物であるわたしたちにとって外敵から身を守るための正常な反応です。わたしたちの体は、その不安な感情から、いるかもしれないけどいないかもしれない「敵」の襲撃に備えて、無意識のうちに戦闘態勢を取り始めます。交感神経が優位になって副腎からアドレナリンを出すだけではありません。敵の襲来に備えて、わたしたちの原始的な脳から指令が下ります。毛細血管を縮め、敵に襲われた時の流血を防ぎます。瞳孔が開き、敵を早く発見します。大腸など消化活動を止め、エネルギーを戦闘に集中させます。他にも身体的な反応がありますが、これらは原始的な脳が指令を出しているので、子どもたちは意識しているわけではありません。登校前に腹痛を起こす子どもがいます。大腸の病気の場合もあるので、内科には必ずかかって欲しいのですが、こうした防御反応で消化活動が停止しているために腹痛を起こすことも考えられるのです。そう考えると、ここで不登校反応を起こすのは、生物としてごく自然な反応ともいえるのです。

親も心配なんだけど

この事態に、なんだかわからなくて「不安」な気持ちから親として間違えてしまうのは、言葉に表せずに「不安」で怖がっている子どもに、とにかく学校に行かせてしまおうとすることです。見分けるのは難しいのですが、単なるサボりの子どもは、現代ではそうそう多くありません。ましてや、こういうサイトを探して情報を得ようとする真面目な親の子どもが、ただのサボりで学校に行かないなんてことは考えにくいのです。また、何かいじめを受けているとかでもないことが多いです。それを、「サボっている」「いじめを受けている」と判断しがちなのは、謙虚な親のあなただから、先に防御態勢を作るためにマイナス思考になってしまっていることも多いのです。親もまた、正体がわからない「不安」で、戦闘態勢・防御態勢になっているのかもしれません。お子さんや親のあなたは、便秘がちではないですか?手が冷たくなっていませんか?それは、長期休業明けの正常な反応ですよ。そこに気づかないと、「無理矢理学校に行かせ」たり、絶対学校でいじめられてる「はず」、と学校や自分の子どもにきつく問い続け、必要以上に騒ぎ立ててしまい、結果として子どもが余計に学校に行きにくくなるという事態にはしたくないですよね。

不安の解消法

そんなときの解決策の一つは、感覚だけで「不安」になっている脳に、言語で具体的な情報を与えてやることです。しかし、不安な気持ちが解消するのに時間はかかります。言語処理の部分と、感覚処理の部分の情報交換が、人間の脳はまだ進化し切れておらず、連携しにくいのです。なので、なんとなく「不安」になると、またそれを敵と見なしてアドレナリンを分泌して戦闘態勢になってしまうのです。そして、人間関係が悪化してさらに不安になることを、私も、そして大人であるあなたも、今まで何度繰り返してきたことか!!

感覚脳に情報を与えてやるには、自分で言葉に出して言語脳を活性化するのが一つの解決策です。例えば、学校で楽しかったことを言葉に出させてみる。これは、感覚脳が警戒しているのと、生存欲求の方が優先されるので、不安になってしまった状況ではなかなか出てこないのが普通です。だから当日朝に腹痛になったら、その場で切り替えていいこと思い出して、なんて言うのは無理です。その日は学校をお休みして、心の緊張をほぐす日にした方がいいと思います。無理矢理生かせると、子どもの脳には「学校=無理矢理行かされる嫌なところ」という公式が刻み込まれてしまいます。なので、できれば数日前から、学校の楽しかったことを(親と学校の関係がうまくいっていようといまいと)一緒に思い出して、何回も会話し、言語化させるのです。そうすることで、学校は行っても安心なんだと具体的な事実として捉えることができるので、緊張レベルが下がり、学校に行くことのできるエネルギーが保てるのです。

親であるあなた自身も、なんとなく心配という「不安」で、体も気持ちも揺れているはずです。そんなときは、子どもと一緒でもいいし、親だけでもいいから、歩いて学校を見に行ってみるとか、地域を廻ってみるとかするといい。できれば良いところを見つけて言葉に出して言うと子どもと同じように安心できるかもしれません。仮に悪いところしか見つからなくても、見に行って何に対して「恐怖」を感じたかがわかれば、対処の仕方も具体的になります。アドレナリンを出し続ける必要がないことが感覚脳にも伝わって、体力の無駄な消耗も防ぐことができます。

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