子どもの心のSOSに寄り添う

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Ⅰ.はじめに

夏休みが終わる前後、年度が替わる頃、または変わってすぐ、子どもがSOS(救援信号)を発信することが多くなります。今までの状態と大きく変わるからです。

Ⅱ.子どもがSOSを訴える状況

子どもの心が負担を感じるのは、次のような状況が考えられます。

  1. 身体的な危険:子どもが怪我をしていたり、火事や地震などの自然災害が起こった場合には、SOSを感じることがあります。
  2. 心理的な問題:虐待やいじめなど、子どもが心理的なストレスを感じる場合には、SOSを感じることがあります。また、うつ病や不安障害などの心の病気にかかっている場合にも、SOSを感じることがあります。
  3. 学校でのトラブル:学校での問題、例えば成績や友人関係のトラブル、いじめ、教師とのコミュニケーションの問題などによって、子どもがSOSを感じることがあります。
  4. 家庭内の問題:家族間の問題、例えば両親の離婚、家庭内暴力、貧困、親の病気などによって、子どもがSOSを感じることがあります。
  5. 自分自身の問題:自分自身に問題を抱えている場合、例えば自尊心が低い、自分を嫌いになっている、自己肯定感が低いなど、子どもがSOSを感じることがあります。

これらの状況で子どもがSOSを発信したり感じることを意識できるレベルに上げることは非常に重要です。無意識下で抱え続け、心を蝕み思考回路に大きな影響を与えてから発現するSOSは、その回復に非常に大きな時間とエネルギーを要するからです。時に大きな代償を支払うことにもなります。周囲の人々は、子どもが安全であること、適切な支援を受けることを確認するために注意を払う必要があります。

Ⅲ.子どもの心の危機の前兆を捉えるための保護者のチェックリスト

あなたのお子さんにとって過剰な心理的圧迫が起こっていないか、自分でチェックするためのリストを次に挙げておきます。

  1. あなたの子どもは最近、学校や家庭での活動や興味についてどのようなことを話していますか?
  2. 最近、あなたの子どもは夜に安眠できていますか? 夜中に目が覚めていることはありますか?
  3. あなたの子どもは、最近、自分自身についてどのように感じていると言っていますか? 自分自身を受け入れることができていますか?
  4. あなたの子どもは最近、学校での成績についてどのように感じていますか? 成績が下がったり、興味を示さなくなったりしていることはありますか?
  5. 最近、あなたの子どもは、友人関係についてどのように感じていると言っていますか? 友達がいない、いじめに遭っている、友人関係に問題があるということはありますか?
  6. 最近、あなたの子どもは、家庭内の雰囲気についてどのように感じていますか? 家族との関係が悪くなったり、家庭内のトラブルがあったりしていることはありますか?
  7. 最近、あなたの子どもは、何か心配や不安を感じているように見えますか? 何か心配事やストレスを抱えているようなことはありますか?
  8. 最近、あなたの子どもは、食欲や体重に変化がありますか? 食欲がない、食べ過ぎる、体重が減った、または増えたということはありますか?
  9. 最近、あなたの子どもは、何か自分自身や他人に対して危害を加えると言ったり、そういう行動をとったりしていることはありますか?
  10. 最近、あなたの子どもは、自殺や自傷行為について話していますか? 自殺や自傷行為を試みたり、それについて考えているようなことはありますか?

これらは、子どもの心の危険信号を知るための出発点として役立つことがあります。ただし、子どもの特性や生活、保護者の生活にも大きく影響されるので、必ずしもこれだけで十分なわけではなく、子どもとのコミュニケーションや専門家の支援も必要になる場合があります。

子どもの心の危険信号を早期キャッチするために役立つ追加のアイデアです。

  • 子どもとのコミュニケーションを促す。子どもが話しやすい雰囲気を作ることが重要です。子どもが心を開ける場所や時間を設け、話を聞く態度で接することが大切です。
  • 学校や保健所などの専門家の支援を受ける。心理カウンセリングや相談窓口を利用することができます。相談に応じる専門家は、子どもの心の危険信号を認識し、必要なサポートやケアを提供することができます。
  • 身体的な変化を注意深く観察する。食欲や体重、睡眠状態の変化を見逃さずに観察することが大切です。また、子どもが自分自身や他人に対して危害を加えるという行動に注意を払うことも重要です。
  • 子どもの生活習慣を見直す。適度な運動やバランスの良い食生活、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を維持することが重要です。家族全員が健康的な生活習慣を実践することが、子どもの心の安定につながることもあります。

以上のような方法を利用することで、子どもの心の危険信号をより正確に認識し、必要なケアやサポートを提供することができます。

Ⅳ.前兆を捉えるための子どもへのアンケートの例

次に、子どもが無意識に感じている危険信号を明らかにするために、次のような質問が役立つ場合があります。子どもが答えやすいようなワーディング処理やキャリーオーバー効果を考慮したうえで作成しています。

  1. 最近、気持ちが落ち込んだり、不安な気持ちになったことはありますか?そのときはどんなことが原因でしたか?
  2. 学校や家庭で、どんなことが楽しいと思いますか?どんなことが楽しくないと思いますか?
  3. あなたがストレスを感じるとき、どんなことがありますか?
  4. 最近、誰かに話したいことがあると思ったことはありますか?その話したいことは何ですか?
  5. 最近、夜中に目が覚めたり、眠れなかったりすることがありますか?
  6. 自分自身や周りの人に対して、イライラしたり怒りっぽくなることがありますか?そのときはどんな状況でしたか?
  7. 食欲がなくなったり、食べすぎたりすることがありますか?
  8. 自分自身や周りの人に対して、自分が役に立たないと感じることがありますか?そのときはどんな状況でしたか?

例えば、最初の質問は、「最近、気持ちが落ち込んだり、不安な気持ちになったことはありますか?」と、具体的に落ち込んだり不安になった場面を尋ねることで、子どもにとって答えやすいものとなっています。また、質問の順序は、軽い話題から徐々に重い話題へと移るように調整しています。これにより、子どもが安心して話しやすい環境を作り出すことができます。

Ⅴ.より積極的に子どもに介入すべき閾値

 介入すべき閾値は、一般的に心の健康に関する専門家や機関によって異なります。一般的には、子どもの心の健康に関する問題が深刻化していると思われる場合には、早急に専門家のアドバイスを求めることが必要となります。

目安として、いくつかの一般的な指標を挙げると、次のようなものがあります。

  1. 自殺念慮や自傷行為の有無:自殺念慮や自傷行為がある場合には、すぐに専門家に相談する必要があります。
  2. 日常生活に支障をきたす程度:子どもが心の健康に関する問題で、日常生活に支障をきたしている場合には、早急に専門家に相談することが必要となります。
  3. 症状の持続期間:症状が2週間以上続いている場合には、専門家に相談することを検討する必要があります。
  4. 症状の強さ:症状が強く、自分や周囲の人にとって深刻な問題となっている場合には、専門家に相談することが必要となります。

これらの指標はあくまでも目安です。子どもの心の健康に関する問題には、個人的な状況や背景、それまでの生育歴など様々な要素が絡んできます。可能な限り早めに専門家へ相談をすることが良い場合が多いです。具体的には、小児科の先生であれば、心療内科を併設しているところが敷居が低くてかかりやすいのではないでしょうか。回答の内容を総合的に判断し、必要に応じて専門家のアドバイスを求めてください。

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