新学習指導要領全面実施の理念
新学習指導要領全面実施のはじまり
世の中は新型コロナウィルス感染症の対応に追われ、世界中が大混乱に陥ってしまいました。生活の制限と、そのストレスからくる鬱、認知症、人々の怒りのエネルギー、などなど。最近、日本国内で起こっているような嫌な出来事も、この混乱の一部として当然に起こりうることと予想されていました。今にして思えば、コロナの危機感を最初に広く日本に知らしめてくれたのは、安倍元総理が全国一斉休校を突如発表したことからだったのではないかと思います。
そんな混乱を他所に、学校では新学習指導要領全面実施がすでに予定通り行われています(ことになっています)。新学習指導要領の原文を読み込んでいくと、心理学も今まで以上に採り入れて、さらに崇高な理念の元に考案されたと感じることができます。原文にあたれば、の話です。ところが、新学習指導要領についての所属自治体の教育委員会からの指示に違和感を覚える教員が多く、疑問が噴出しています。これはまったくもってその通りで、文部科学省が作った新学習指導要領やその解説が、いくつかの組織や人を通して教員に降りてくる間に、元々行間に示されていたはずの学習指導要領編成に関わる本来の意図が、バッサリとそぎ落とされてしまっているからなのです。
新学習指導要領の目指すところ
さて、今回の学習指導要領は、「これからの社会が、どんなに変化して予測困難な時代になっても,自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現して欲しい」との願いを持って策定されました。主に「主体的・対話的で深い学び」を実現しながら、次の3つの観点で子どもたちを伸ばそうとしています。
①知識及び技能
②思考力、判断力、人間力など
③学びに向かう力、人間性など
誰の安心感のための3観点3段階、評定5段階なのか?
子どもの行為に対する評価は「迅速、理由の明確さ」が鉄則
子どもの学びに対する評価は、すぐ行って納得ができる形で返すのが鉄則です。誤解しないで欲しいのは、定期テストを翌日に返せと言ってるわけではありません。冒頭で、新学習指導要領が心理学的にもよく練られていると申し上げました。子どもが生涯を通じて学び続けるためには、学ぶことへの楽しさ(ゲラゲラ笑うこととは違います)を身をもって体験し続けることが大切です。
自閉症傾向にある子ども(軽い自閉傾向も含めると相当数に上る)は、情報の上書きが苦手です。一度すり込まれた誤情報が反芻されて長期記憶に貯蔵されてしまうと、修正して感情レベルにまで落とし込むことは至難の業です。半年経ってから渡された各自の評価について、納得性を担保できるとは考えにくいのです。これは一般の子どもたちにも充分当てはまります。本人が納得していなければ、次の行動への発展性も望めません。詳しい評価が難しいなら、バックトラッキング(オウム返しのようなもの)でもかまわないので、評価は即時行うのが鉄則だと思います。
最後に
これからの社会が,どんなに変化して予測困難な時代になっても,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,判断して行動し,それぞれに思い描く幸せを実現して欲しいとの願いを持って策定された新学習指導要領。「主体的・対話的で深い学び」とは、生徒が学ぶ姿勢だけを示しているのではありません。「生徒と教師の主体的・対話的で深い学び」、「教師と教材との主体的・対話的で深い学び」をも含めているのです。あなたの学校は、何学期制ですか?
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