「学校に行かないフェーズ(いわゆる不登校、登校しぶり)の子どもが動画ばかり見ている」と感じた時の心理学的理解と支援

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「学校に行かないフェーズ(いわゆる不登校、登校しぶり)の子どもが動画ばかり見ている」と感じた時の心理学的理解と支援

学校に行かない選択をしている子どもが家で過ごす姿を見て、保護者がイライラしてしまう――これは多くの家庭で起こる自然な感情です。しかし、子どもの行動には心理学的な意味があり、適切な理解と支援によって、親子ともに穏やかに過ごせる道が開けます。

  1. 1. 学校に行かない子どもの行動に親がイライラする実例と心理分析
    1. 実例1:昼夜逆転してゲームばかりしている
      1. 親の心理:
      2. 子どもの心理:
    2. 実例2:一日中部屋にこもって寝ている
      1. 親の心理:
      2. 子どもの心理:
    3. 実例3:家事や手伝いは一切せず、要求だけする
      1. 親の心理:
      2. 子どもの心理:
    4. 実例4:動画やSNSばかり見ている
      1. 親の心理:
      2. 子どもの心理:
  2. 2. 動画ばかり見ている子どもの心理学的詳細分析
    1. 刺激のフィルタリング機能
    2. トラウマインフォームドケアの視点
    3. 発達心理学的視点:アイデンティティ形成
    4. 神経科学的理解
    5. 結論:動画視聴は「症状」ではなく「対処」
  3. 3. 保護者と学校の先生が学ぶべきこと、配慮すべきこと
    1. アドラー心理学の視点から
      1. 学ぶべきこと:
      2. 実践すべきこと:
    2. 認知行動療法(CBT)の視点から
      1. 学ぶべきこと:
      2. 実践すべきこと:
    3. マインドフル・セルフ・コンパッション(MSC)の視点から
      1. 学ぶべきこと:
      2. 実践すべきこと:
    4. 学校の先生に必要な配慮
  4. 4. 親と先生が継続すべきこと:マイルストーンとともに
    1. フェーズ1:休息と安全基地の確立(1〜3ヶ月程度)
      1. 子どもの状態:
      2. 親・先生の継続的な取り組み:
      3. 期待できる変化:
      4. 親への配慮:
    2. フェーズ2:家庭内での回復の兆し(3〜6ヶ月程度)
      1. 子どもの状態:
      2. 親・先生の継続的な取り組み:
      3. 期待できる変化:
      4. 親への配慮:
    3. フェーズ3:社会とのつながりの模索(6〜12ヶ月程度)
      1. 子どもの状態:
      2. 親・先生の継続的な取り組み:
      3. 期待できる変化:
      4. 親への配慮:
    4. フェーズ4:新しい形での社会参加(12ヶ月以降)
      1. 子どもの状態:
      2. 親・先生の継続的な取り組み:
      3. 親への配慮:
    5. 重要な心構え
  5. 5. 参考図書
    1. アドラー心理学関連
    2. 不登校理解と支援
    3. 認知行動療法関連
    4. マインドフル・セルフ・コンパッション関連
    5. 発達特性と感覚過敏
    6. トラウマインフォームドケア
    7. 親のためのセルフケア
    8. 学校の先生向け
  6. おわりに
    1. 関連

1. 学校に行かない子どもの行動に親がイライラする実例と心理分析

実例1:昼夜逆転してゲームばかりしている

親の心理:

「このままでは将来どうなるのか」という不安が根底にあります。アドラー心理学的には、親自身が「良い親であるべき」という理想と現実のギャップに苦しんでいる状態です。また、世間体への恐れ、自分の子育てが失敗したのではないかという劣等感が、イライラという形で表出しています。

子どもの心理:

ゲームという限定された世界の中で、自分がコントロールできる感覚を取り戻そうとしています。学校という予測不可能で評価される場から離れ、自己効力感を回復させる試みです。昼夜逆転は、家族との接触を最小限にし、叱責や心配の眼差しを避ける防衛機制でもあります。

実例2:一日中部屋にこもって寝ている

親の心理:

「何もしない=怠けている」という認知の歪みが生じています。親自身が「頑張ること」を価値として内面化しているため、休むことを許せない心理状態にあります。また、子どもが苦しんでいる姿を直視できず、「病気ではないのだから動けるはず」という否認の心理が働いています。

子どもの心理:

心理的エネルギーが枯渇した状態です。睡眠は、過覚醒状態からの回復メカニズムであり、精神的な傷の治癒過程でもあります。部屋という「安全基地」で、外界からの刺激を遮断し、心を守っている状態です。

実例3:家事や手伝いは一切せず、要求だけする

親の心理:

「ギブ・アンド・テイク」の原則が崩れたことへの憤りがあります。「学校に行かないなら、せめて家のことを」という交換条件的な思考が、満たされないことでイライラを生んでいます。また、子どもに「甘やかしすぎた」という自責の念も混在しています。

子どもの心理:

依存的な行動の背景には、実は深い不安があります。自分で何かをする力がないと感じているため、他者に依存せざるを得ない状態です。また、親からの愛情を確認するための「試し行動」である可能性もあります。

実例4:動画やSNSばかり見ている

親の心理:

「スマホ依存」という病理的な枠組みで捉えてしまい、「取り上げるべき」という強制的な介入を考えてしまいます。デジタルメディアへの不信感と、「もっと生産的なことをすべき」という価値観の押し付けが生じています。

子どもの心理:

動画視聴は、実は高度な情報処理と刺激調整の行為です。次のセクションで詳しく分析します。

2. 動画ばかり見ている子どもの心理学的詳細分析

刺激のフィルタリング機能

学校という環境は、多様な人間関係、予測不可能な出来事、評価のまなざし、騒音、視覚的刺激など、膨大な情報処理を要求されます。不登校の子どもは、この情報処理能力が一時的に低下している、あるいは元々高感受性(HSC: Highly Sensitive Child)である可能性があります。

動画視聴は、以下の点で優れた「刺激調整装置」として機能しています。

  • 受動的な情報受容: 自分から働きかける必要がなく、一方的に情報を受け取るだけでよい
  • 予測可能性: 内容が気に入らなければすぐに切り替えられる。サプライズや裏切りが少ない
  • 社会的相互作用の回避: 他者からの評価や反応を気にする必要がない
  • 一時停止・巻き戻しの自由: 自分のペースでコントロールできる安心感
  • 感情の代理体験: 登場人物を通じて、安全に感情を体験し処理できる

トラウマインフォームドケアの視点

学校で何らかのトラウマ体験(いじめ、叱責、失敗体験、対人恐怖など)をしている場合、脳は「脅威検知モード」に入っています。この状態では、新しい刺激すべてが潜在的な危険として認識されます。

動画は、この過覚醒状態を鎮静化させる「自己治療」の一形態です。特に:

  • 予測可能な刺激: 脅威検知システムを落ち着かせる
  • 注意の集中: 侵入的な思考(フラッシュバック、反芻思考)から意識をそらす
  • 感情調整: 笑える動画、癒される動画を選ぶことで、ネガティブ感情を調整

発達心理学的視点:アイデンティティ形成

思春期の子どもにとって、動画視聴は単なる娯楽ではありません。様々なコンテンツを通じて:

  • 多様な価値観に触れる
  • 自分の興味・関心を探索する
  • 将来の可能性を模索する
  • 同じ興味を持つコミュニティとつながる

これらは、エリクソンの発達段階理論における「アイデンティティの確立」に不可欠なプロセスです。

神経科学的理解

長期的なストレス状態にある子どもの脳では、扁桃体(恐怖・不安の中枢)が過活動になり、前頭前野(理性的判断・計画の中枢)の機能が低下しています。この状態では:

  • 将来の計画を立てられない
  • 複雑な課題に取り組めない
  • 即時的な快を求める

動画視聴は、この神経生物学的状態において、最も負担の少ない活動なのです。

結論:動画視聴は「症状」ではなく「対処」

動画ばかり見ているのは、問題行動ではなく、圧倒的な外界から自分を守り、心的エネルギーを回復させるための、子どもなりの適応的な対処行動(コーピング)です。「世界から距離をとる権利は子どもにもある」という視点が、支援の出発点となります。

3. 保護者と学校の先生が学ぶべきこと、配慮すべきこと

アドラー心理学の視点から

学ぶべきこと:

  • 目的論: 子どもの行動には「目的」がある。「なぜ過去にこうなったか」ではなく「この行動で何を達成しようとしているか」を考える
  • 勇気づけ: 「できないこと」に注目するのではなく、「できていること」「存在していること」を認める
  • 課題の分離: 「学校に行く/行かない」は子どもの課題。親の課題は「自分の不安とどう向き合うか」
  • 共同体感覚: 「学校に行く=価値がある」ではなく、「その人がいるだけで価値がある」という感覚

実践すべきこと:

  • 朝、起きてきたら「おはよう」と普通に声をかける(特別視しない)
  • 「今日はどうだった?」と結果を聞くのではなく、「その動画面白そうだね」と関心を示す
  • 小さな貢献(ゴミを出してくれた、食器を下げてくれた)に「ありがとう、助かったよ」と伝える
  • 「〜すべき」「〜しなさい」ではなく、「私は〜だと思うけど、あなたはどう考える?」と尊重する

認知行動療法(CBT)の視点から

学ぶべきこと:

  • 認知の歪み: 自分の思考パターン(「学校に行かない=ダメな子」など)が現実を歪めていないか検証する
  • 自動思考への気づき: 子どもの行動を見たときに瞬間的に浮かぶ否定的思考に気づく
  • 行動実験: 「叱らないと子どもはもっとダメになる」という信念を実験的に検証する

実践すべきこと:

  • 思考記録: 子どもの行動→自分の感情→自動思考→別の見方、を記録する習慣
  • スモールステップ: 「学校復帰」という大きな目標ではなく、「リビングに10分いる」などの小さな目標設定
  • 強化: 望ましい行動(少しでも外に出た、家族と話した)には肯定的な注目を

マインドフル・セルフ・コンパッション(MSC)の視点から

学ぶべきこと:

  • セルフコンパッション: 完璧な親である必要はない。自分の苦しみにも優しくする
  • 共通の人間性: 不登校の悩みは自分だけではない。多くの親が同じ苦しみを経験している
  • マインドフルネス: 「今、ここ」に意識を向ける。将来の不安に飲み込まれない

実践すべきこと:

  • セルフコンパッションブレイク: 辛いとき、「これは苦しみの瞬間だ」「苦しみは人生の一部だ」「自分に優しくしよう」と唱える
  • 呼吸法: イライラしたら、10秒間深呼吸してから対応する
  • セルフケア: 親自身が休息をとり、好きなことをする時間を確保する

学校の先生に必要な配慮

  • 定期的な連絡: 「待っているよ」というメッセージを、プレッシャーなく伝える
  • 柔軟な対応: 保健室登校、別室登校、オンライン参加など、多様な「つながり方」を提案
  • スモールステップの評価: 出席日数ではなく、「手紙に返事をくれた」などの小さな変化を認める
  • 保護者支援: 親を責めず、「一緒に考えましょう」という協働的姿勢
  • 教室環境の調整: 学校が安全な場所であるための工夫(いじめ対応、感覚過敏への配慮など)

4. 親と先生が継続すべきこと:マイルストーンとともに

回復のプロセスは直線的ではありません。3歩進んで2歩下がることもあります。焦らず、子どものペースを尊重しながら、以下のようなマイルストーンを意識してみましょう。ただし、これは目安であり、個人差が大きいことをご理解ください。

フェーズ1:休息と安全基地の確立(1〜3ヶ月程度)

子どもの状態:

  • ほぼ一日中寝ている、または動画を見ている
  • 家族との会話も少ない
  • 学校の話題に強い拒否反応

親・先生の継続的な取り組み:

  • 無条件の存在承認: 何もしなくても、あなたがいてくれるだけで嬉しい、というメッセージを伝える
  • 安全な環境の維持: 批判・説教・励ましを控える。質問攻めにしない
  • 親自身のセルフケア: カウンセリング、親の会への参加、趣味の時間確保
  • 学校からの緩やかな連絡: 月1回程度、「元気にしていますか」という手紙やメール

期待できる変化:

  • 睡眠リズムが少し整う
  • 食事を家族と一緒にとる日が出てくる
  • 好きな話題なら少し話す

親への配慮:

「このままでいいのだろうか」という不安が最も強い時期です。でも、休息は治療です。骨折した足を休ませるように、心も休ませる必要があります。あなたの愛情と忍耐が、子どもの回復の土台を作っています。

フェーズ2:家庭内での回復の兆し(3〜6ヶ月程度)

子どもの状態:

  • リビングで過ごす時間が増える
  • 家族との雑談が増える
  • 動画の内容について話してくれる
  • 趣味や興味のあることが出てくる

親・先生の継続的な取り組み:

  • 興味への共感: 子どもが話してくれたことに genuine(本物の)興味を示す
  • 小さな役割の提案: 強制せず、「もしよかったら」という形で手伝いを頼む
  • 外出の緩やかな提案: 「一緒にコンビニ行かない?」など、プレッシャーのない誘い
  • 学校との連携: 子どもの興味に合った情報提供(部活の様子、文化祭の話題など)

期待できる変化:

  • 近所への短時間の外出ができる
  • 家事の一部を手伝うことがある
  • 学校の友達の話題を出すことがある

親への配慮:

少し明るい兆しが見えてくる時期です。でも「もう大丈夫」と焦らないでください。この時期に「じゃあ学校は?」とプレッシャーをかけると、逆戻りすることがあります。「今のペースでいいんだ」という安心感が、次のステップへの力になります。

フェーズ3:社会とのつながりの模索(6〜12ヶ月程度)

子どもの状態:

  • 習い事や塾など、学校以外の場所への興味
  • 友達と連絡を取り始める
  • 将来の話を少しできるようになる
  • 「たまには学校行ってみようかな」という言葉

親・先生の継続的な取り組み:

  • 選択肢の提示: 学校以外の学びの場(フリースクール、オンライン学習、通信制)の情報提供
  • 段階的な登校支援: 保健室登校、放課後登校、行事のみの参加など
  • 失敗を前提とした支援: 「行ってみたけどダメだった」を責めない。「挑戦したこと」を評価
  • ピアサポート: 同じ経験をした子との交流機会(フリースクール、親の会など)

期待できる変化:

  • 週に1〜2回、短時間の登校ができる
  • 学校以外の居場所ができる
  • 新しい友人関係ができる
  • 将来の進路について考え始める

親への配慮:

ここまでよく頑張ってこられました。一進一退の時期ですが、確実に子どもは力をつけています。「毎日学校に行けること」がゴールではありません。「自分らしい生き方を見つけること」がゴールです。多様な道があることを、子どもと一緒に探していきましょう。

フェーズ4:新しい形での社会参加(12ヶ月以降)

子どもの状態:

  • 自分なりのペースで学校や社会と関わっている
  • 将来について具体的に考えられる
  • 不登校経験を自分なりに意味づけできる

親・先生の継続的な取り組み:

  • 自立への支援: 子どもの決定を尊重し、見守る
  • 進路の具体化: 高校進学、就労支援など、具体的な情報提供
  • 経験の意味づけ支援: 不登校経験から学んだことを、肯定的に捉え直す

親への配慮:

お子さんは、あなたの愛情と忍耐に支えられて、ここまで来ました。不登校は「失われた時間」ではありません。子どもは自分と向き合い、人生について深く考える貴重な時間を過ごしました。その経験は、必ず将来の強みになります。あなた自身も、親として大きく成長されました。

重要な心構え

  • 線形ではない: 良くなったり悪くなったりを繰り返すのが普通です
  • 個人差が大きい: ある子が3ヶ月で回復しても、別の子は2年かかることもあります
  • 「学校復帰」がゴールではない: その子なりの幸せな生き方を見つけることがゴールです
  • 親自身の回復も重要: 親が笑顔でいることが、子どもにとって最大の安心材料です
  • 専門家の力を借りる: カウンセラー、医師、ソーシャルワーカーなど、チームで支える

5. 参考図書

アドラー心理学関連

  • 岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気』ダイヤモンド社, 2013年
  • 岸見一郎『子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気』幻冬舎, 2016年
  • 野田俊作『アドラー心理学を語る4 勇気づけの方法』創元社, 2016年
  • 星一郎『アドラー心理学によるカウンセリング・マインドをいかした学級経営』図書文化社, 2015年

不登校理解と支援

  • 明橋大二『子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わる ほめ方・叱り方』1万年堂出版, 2005年
  • 高垣忠一郎『「学校へ行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』PHP研究所, 2020年
  • 奥地圭子『不登校という生き方』日本放送出版協会, 2005年
  • 石井志昂『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』PHP研究所, 2021年
  • 明石要一『新訂 不登校の現実と課題』教育出版, 2019年

認知行動療法関連

  • デビッド・バーンズ『いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法』星和書店, 2004年
  • 伊藤絵美『つらいと言えない人がマインドフルネスとスキーマ療法をやってみた。』医学書院, 2020年
  • 清水栄司『認知行動療法のすべてがわかる本』講談社, 2015年

マインドフル・セルフ・コンパッション関連

  • クリスティーン・ネフ『セルフ・コンパッション―あるがままの自分を受け入れる』金剛出版, 2014年
  • クリストファー・ガーマー『マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック』星和書店, 2019年
  • 石村郁夫・下田芳幸『マインドフル・セルフ・コンパッション 実践ガイド』金剛出版, 2019年

発達特性と感覚過敏

  • エレイン・N・アーロン『ひといちばい敏感な子』1万年堂出版, 2015年
  • 本田秀夫『学校の中の発達障害』SBクリエイティブ, 2019年
  • 岩永竜一郎『発達障害の子の感覚遊び・運動遊び』講談社, 2010年

トラウマインフォームドケア

  • 野坂祐子『トラウマインフォームドケア──”問題行動”を捉えなおす援助の視点』日本評論社, 2019年
  • ベッセル・ヴァン・デア・コーク『身体はトラウマを記録する──脳・心・体のつながりと回復のための手法』紀伊國屋書店, 2016年
  • 杉山登志郎『子ども虐待という第四の発達障害』学研プラス, 2007年

親のためのセルフケア

  • 尾木直樹『「ほめる」より「認める」が子どもを伸ばす』PHP研究所, 2013年
  • ティク・ナット・ハン『怒り──心の炎の静め方』サンガ, 2004年
  • 水島広子『「怒り」がスーッと消える本──「対人関係療法」の精神科医が教える』大和出版, 2011年
  • 水島広子『自己肯定感、持っていますか?』大和出版, 2015年

学校の先生向け

  • 諸富祥彦『教師の悩みとメンタルヘルス──先生の困った!を解決する40のアイデア』図書文化社, 2012年
  • 川上康則『教室マルトリートメント』東洋館出版社, 2019年
  • 藤平敦『教師と子どもの「困った」を「大丈夫」に変える本──先生のためのソーシャルワーク入門』学事出版, 2020年
  • 赤坂真二『クラスがまとまる!小学校学級担任のための アドラー心理学』明治図書出版, 2015年

おわりに

「動画ばかり見ている」子どもの姿は、一見すると怠けているように見えるかもしれません。しかし、その行動の背後には、圧倒的な世界から自分を守り、心を回復させようとする子どもの必死の努力があります。

不登校は、子どもからの大切なメッセージです。「今の私には、少し休む時間が必要です」「今の環境は、私には合っていません」「自分のペースで成長したいです」――そんな声なき声に、私たち大人が耳を傾けることが、支援の第一歩です。

焦らず、比べず、信じて待つこと。それは簡単なことではありません。不安や焦りに襲われる日もあるでしょう。だからこそ、親自身もセルフ・コンパッションを持って、自分を労わることが大切です。

子どもには、回復する力があります。そして、あなたには、子どもを支える力があります。一人で抱え込まず、専門家や同じ経験をした親たちとつながりながら、焦らず戻れる体力づくりを、子どもとともに歩んでいきましょう。

この記事が、不登校のお子さんを持つ保護者の方、学校の先生方にとって、少しでも希望の光となりますように。

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